2010/01/23

大阪が生んだ染めの技術「注染」を今に伝える「注染てぬぐい にじゆら」さんを訪ねる

北区では区役所が中心となって区内の伝統文化の継承にかんするプロジェクトを進めているらしいのですが、その一環として、区役所職員有志、学識経験者、職人、市民の有志による研究会、「職人研」というのがあります。

「北区の伝統文化活用方策研究会」なるお役所らしい堅苦しい正式名称がついていますが、要は、北区に今も残る職人さんの技や心意気を次代に伝えたり、職人さんが生き生きとしているまちのありかたを探ったりする会です。

職人研の活動については、こちらが参考になるかと。

http://www.city.osaka.lg.jp/kita/category/16-5-0-0-0.html


で、昨年末に、開催された『第2回 北区の伝統文化と職人さん展「ものづくりと手仕事を中心とした展示会」』を訪れた折りに、職人研の存在を知り、僕もソッコーで入れていただいたのでした。


そして今回、今年初の開催があったので、僕も早速参加してきたのでした。

一発目は、中崎西にある、手ぬぐい屋さん「注染てぬぐい にじゆら」さんの取材です。

にじゆらさんのHPはこちら。

http://nijiyura.jp




明治の半ばに大阪で発明された「注染」という技術を使って手ぬぐいをつくっておられるところです。

タオルに押されて手ぬぐいそのものがもはや伝統工芸の部類に入るような気がしないでもないですが、それに加えてさらに注染という技術を今に伝えているのが、にじゆらさんの特色です。

そもそもですが、手ぬぐいというのは、もっと見直されてもいいはず!と、思いますな。
僕、旅をしていたころは、手ぬぐいが重宝してました。タオルの質感も大好きですが、たとえば海でばしゃばしゃ遊んだりしたとき、タオルだと目に砂が入り込んでエラいことになるんですが、手ぬぐいだとそんなことはなくて、砂まみれの身体を拭いても、水分だけ吸収して、砂は払えばさっと落ちてくれます。

それに、速乾性があるので、スコールに出会ったときに頭に被せておくと、スコールが去って強烈な日射しがやって来るとともに、頭ごと手ぬぐいがすぐに乾いてくれます。

まあ、こんなことは、日本国内では役に立ちませんが(笑)

あと、柔らかいので、小物を包んだりするのにもピッタリです。まあ、もともとが包むためのものではないので形状的に難がある場合もありますが、風呂敷ほど大げさではなく、タオルは分厚いので、なかなか重宝します。なにかをプレゼントするときのラッピングに手ぬぐいを使って演出するなんてことも、たまにはやります。

もちろん、文字通り、手を拭うために使うのもアリですが(ちなみに、本来的には、手ぬぐいは頭に被るもので、手を拭うのはじつは「前掛け」のはずですが、どの時点で、手ぬぐいが手を拭うためのものになったんかは、僕、知りません。誰か教えてください!)、使いかたはいろいろあると思います。スカーフにもできるし、敷物にもできるし…。

さて、手ぬぐいについて書いている場合ではないのでした。
注染という、染めの技術について書きたいのでした。


注染と書いて、「chusen」と読みます。

型染の一種で、その名のとおり、染料を注いで染める技法です。

技法を詳しく説明します。もちろん、受け売りですよ!(笑)

1)
生地を糊付け台の上に敷き、木枠をかぶせて、柄をくり抜いた型紙を固定します。その上から、防染糊を木ヘラでムラが出ないように伸ばしていきます。型紙のくり抜いたところに糊が乗りますから、そこには染料が染み込まない、ということになります。マスキングの要領ですね。
最初のマスキングが終わると、木枠と型紙を上げて、残りの生地をおなじ長さだけ折り返し、再び木枠と型を装着して、防染糊をすりつけていきます。
ところで生地の長さは、1反の2倍、つまり1疋で、木枠と型紙は手ぬぐい1枚分の長さですから、この作業が、1疋分で25回。つまり、手ぬぐい25枚分をじゃばら状に折り畳んでいって、一度に行ないます。

これが店内に飾ってあった型です。




そしてこれが、これまた店内に飾ってあった糊付作業の様子を写していた写真です。





2)
折り重なった状態の布を染め台に置き、必要のない部分に染料が流れ出さないように、糊で土手をつくります。で、そのなかに、ドビンと呼ばれるじょうろで染料を注いでいきます。布を染料に浸すのではなく、注ぐので、「注染」という名称になっているわけです。
糊で土手をつくってそこに染料を注ぐために、1枚の布の部分部分で染め分けができるのが大きな特徴ですな。ドビンは、鉢の水やりほどの大きなものからスポイドのような小さなものまであって、かなり細かな染め分けができるようです。

これなどは、染め分けをふんだんに行なった、注染の特徴が生かされている好例です。




注いだ染料は、染台に設置されている減圧タンクで吸引します。下からポンプで吸引することで、生地の目をつぶすことなく染め上げることができ、生地の柔らかな肌触りを保つこともできます。
最初の注染が終わると、次は生地を引っくり返して、裏からも注染を行ないます。これで、裏表なく染め上げられるというわけ。

今の手ぬぐいの主流はプリントですが、プリントだと、表地だけに柄があって、裏にはなにもないです。これは、プリントが生地の上に柄をコーティングしているからですが、注染は生地の糸そのものを染めるので、表と裏でおなじ柄のおなじ色が表現でき、ここがプリントとの大きな差となってます。

3)
染めが終わると、洗いですね。染め上げた布を流水に浸し、防染糊と余分な染料を洗い流します。移染しないように素早く洗い流すのがコツだそうです。

4)
洗いが終わると、脱水して乾燥。その後、手ぬぐいのサイズに切り分けて、完成です☆


1反の2倍、つまり1疋、手ぬぐいにして25枚分を一度につくるので、合理化された手作業というか、準大量生産みたいなところがあって、このあたりが、大阪の発明らしいというか、大阪人気質を感じさせますな。

これは切り分けずに、反物の状態でお店に置いておいて、好きなサイズにカットできるようになっているものです。




もっとも、職人技に頼るところも多く、技術の習得には、かなりの年月を要するとのこと。
これ以上詳しく書くと膨大なテキスト量になってしまうので割愛しますが、2枚の型紙を使って図案を重ねたり、一度染めたものを部分的に色抜きしたり、グラデーションをかけたり、いろいろと応用編があるのです。もちろん、基本的な技術の習得だけでも大変なのは言うまでもなく。


にじゆらさんは、もともとは堺に工場を持ち、そちらで受注生産をされていた会社です。
それが今、中崎にブランドショップを構え、直営をされているのには、わけがあります。
この、注染の技術を残したい、もっともっと広めたい、という思いから、ショップを構え、技術の詳しい説明を行ない、この技術ならではの表現を楽しんでもらうことを、旨とされています。
ですから、新しい作家さんとのコラボレーションも積極的に行なっているし、海外にもアピールされています。

これはイギリス人のデザイナーがデザインした柄です。




お店に行くと、たくさんの商品があるのはもちろんのこと、注染のことをたーくさん説明していただけます。場合によっては、堺の工場を見学もさせてくれます。

いわゆる「用の美」ということになるのだと思うのですが、注染は、技術とデザインがわかちがたく結びついているところが、僕の心をくすぐりましたわ。職人技の技術があってこそ可能なデザイン、が、このお店では堪能できます。

この柄は、通常、花の部分に色が入るものですが、花を白抜きにしてバックを染め、そこにグラデーションをつけることで、技術の高さをデザインに生かしている好例です。






いやー、それにしても、今回は、いいもん見させていただきました。職人研に入れていただいてよかったです、マジで! 次回も楽しみです☆






注染てぬぐい にじゆら
大阪市北区中崎西4-1-7 グリーンシティ104
tel. 06-7492-1436
12:00-19:00
火休
HP http://nijiyura.jp

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